2021年の本9選 #14
自分のための備忘録。一言コメントを添えて。
今年の9冊と一本
①東京の生活史 /岸政彦 編
150人の名もなき人たちのなんでもない生活史を150人が聞き取った話をまとめた1,200ページ超えの大著。人生。
②コンテナ物語 /マルク・レビンソン(訳:村井章子)
コンテナの誕生が人間に与えた影響を数字も交えて解説。コンテナ船の話が特に面白かった。
③TBSラジオ公式読本 /責任編集 武田砂鉄
TBSラジオリスナーの自分としては垂涎の一冊。砂鉄さんさすがっす。
④異文化理解力 /エリン・メイヤー(訳:樋口武志)
異文化に接するにあたり必要なことが詰まっている気がする。「NO RULES 世界一『自由』な会社、NETFLIX」でこの本が出てきていて読んだ本。
⑤愛と差別と友情とLGBTQ+ /北丸雄二
LGBTQについて少しでも理解したいと思って読んだ本。また再読したい。
⑥マチズモを削り取れ /武田砂鉄
日常の中に潜むマチズモをいちいち指摘していく本。こういうの男としては意識するの難しいかもしれないけど、しつこく考えていきたい。
⑦人新世の資本論 /斎藤幸平
成長が前提の資本主義に疑問を投げかけるこの本。よりより社会を求めて考え続けることは大事だなと感じた。
⑧三体 暗黒森林/劉慈欣(訳: 大森望ほか)
ベストセラー三部作の二作目。タイトルの意味を知った時、少しゾワっとした記憶。
⑨イシューからはじめよ /安宅和人
これからの指針となる一冊。
「コンテナ物語」を読んで「物を買うこと」について考えた #13
3月某日に博報堂が出している雑誌・広告の『流通』の号を本屋で見つけて、読んでみた。
流通って普段ほとんど意識しないけど、近年はAmazon初めネット通販の隆盛が激しいから結構気になってて。ヤマトの配送料の問題とかもあるし。
この雑誌の中の「輸送進化論」という項で、「コンテナ物語」という本が紹介されていて、気になったので買って読んでみた。
「コンテナを海上輸送に使うようになって、港湾で働く人や環境がどう変わったか?」
「安価でモノが大量輸送できるようになって、モノのグローバルな流通や人々の購買行動がどう変わったか」
といったことを書いた、日本では2007年初版の本なんだけどまあ〜面白くて。
港湾の状況だけじゃなく、製造業のグローバルな生産体制をもダイナミックに変えてしまっていて、それが自分たちの生活をどれだけ「豊かで便利な」ものにしているのか痛感した。
今後モノを買う時には、たまにコンテナのことを思い出すんだろうなぁ〜と思うし、読んでから実際、たまに考えたりしている。コンテナってあんな無機質なモノだけど、感謝しないとね。
ちなみにこの本、価格競争に勝つために、コンテナ船とそれに対応する港湾がどんどん巨大化していっている現状とか、今後どうなっていくんだろと思うことも少しあったけど、それはまた別の機会に。
『本気のしるし 劇場版』から受けた衝撃 #12
もう3ヶ月前になるけど、深田晃司監督の『本気のしるし 劇場版』を見て、衝撃を受けた。
その衝撃は正直2-3年ぶりのことで、自分の凝り固まった感性が揺さぶられ「もっと色々見たい、感じたい」と思わせてくれる、そんな映画だった。
それは愛をめぐる破滅のストーリーからももちろん受けたものではあるけどそれ以上に、葉月(土村芳)の無茶苦茶な行動の中に潜む微笑みであり、一路の虚無を纏った佇まいからきたことは間違いない。
232分の長いはずの映画はそれなりに長く、でも疲れは感じずに見られた。
だけど、これ以上言語化すると違う気がするから、まあ今はこの辺にしておこう。
ドラマ版のDVD BOXゲットしてるからまた見返そう。見るたびに違う感想を抱きそうだし。
女優と下北沢と『街の上で』 #11
今泉力哉監督の『街の上で』
公開2日目に観に行ってきた。
いきなり脇道。
元から99%以上1人で映画を観に行っている身からすると、ここ一年の映画館の20時までの開館時間の制限は一見合理的に見えて、むしろそれまでの上映に人が集まってしまっているような...
まあ慣れてしまっているのだけど、夜中のガラガラの上映が恋しい。
そんなこんなでこの映画。
今泉監督の映画は他の同規模の日本映画にはない力の抜け具合だと常々思っていて、恋愛の描き方も直接的な表現にあまり頼っていなくて。
あらすじは各種サイトに任せるとして、やっぱり言いたいのは女優陣を魅力的に撮るな〜ってこと。(主演の若葉竜也の受けの演技の素晴らしさは言うまでもなく)
大女優というよりはこれからの新進女優を魅力的に撮ることにかけては今泉監督はピカイチだと思う。『愛がなんだ』の岸井ゆきの然り。
1人選ぶのが難しいくらいだけどここでは城定イハ役の中田青渚に言及しておこうと思う。予告編にもある、主人公の荒川青と部屋で話すシーンがとにかく素晴らしい。男女の微妙な距離感というか、なんというか。
あのシーンを観に、もう一回映画館に行こうと思う。
舞台設定が下北沢ってのも印象的だなぁ。出てきたロケ地で行ったことあるのってトリウッドくらいだけど、今度下北沢プラプラ歩いてみようかな。古書店とか行ってみたい。
(パンフも買った。最近はパンフ買うペースも鈍ったな〜)
おまけ。
今調べたら『退屈な日々にさようならを』には松本まりか出てたのか。公開時に見たけど、正直内容ほとんど忘れてるから今度もう一回観よう。
『ある職場』と日本社会について考えたこと #9
先日、東京国際映画祭で『ある職場(英題:Company Rtreat)』(監督:舩橋淳)という映画を観た。
これが実話を基にした、日本社会の嫌なところを凝縮したような話で。
粗筋を紹介すると、以下。
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セクハラ被害にあった若い女性を慰めるために、会社の保養所にきた一団が巻き起こす議論を淡々と追いつつ、日本が抱えるジェンダーの問題を映し出す...
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いま日本が抱える問題がビシビシ伝わってくる内容で、出てくる俳優さんたちが無名の人だからこそ余計なノイズがなく、伝えたいことがストレートに伝わってきた。
言うまでもなく男性中心社会の問題が真ん中にあるんだけど、それ以外にも最近浮き彫りになってきたアウティングの問題とか色々入っていて。
自分はこの問題にどう接していけば良いのだろうかと真剣に考えざるを得なかったし、知らず知らずのうちに自分も加害者側になってないかと顧みるきっかけに。
内容が内容なだし有名な俳優が出ているわけじゃないから、広く沢山の人の目には触れないかもしれないけど、一般公開されて1人でも多くの人の目に留まって欲しいと願っている。